
香水をつけても、すぐに香りが消えてしまう…。
逆に、強すぎて周囲に不快感を与えてしまった…。
そんな経験がある方に
実は香水は「どこにつけるか」で、香りの持続時間・拡がり方・印象のすべてが変わります。
「香水は、まるで第二の肌。纏う人の個性を引き出し、記憶に残る印象を創り出す、魔法のアイテム。」
そう語るのは、エルメスの専属調香師、クリスティーヌ・ナジェル氏。世界中の人々を魅了する数々の名香を生み出してきた彼女。
本記事では、エルメスの調香師クリスティーヌ・ナジェル氏の助言・香料学の知見を参考に、「香水のつけ方」について科学的な視点から徹底解説! 初心者から上級者まで、香りの魅力を最大限に引き出すための完全版ガイドです。
この記事でわかること
- 香水の種類別・最適なつけ方
- シーン別おすすめの香りの演出方法
- 香水をつける場所:香りが持続しやすい場所、避けるべき場所
- 香水の種類、肌質、季節に合わせたつけ方の調整方法
- 香水をつける際のNG行為と、その対策
香水は“あなたらしさ”を表現し、記憶させるもの。

はじめに
香水は、単なるフレグランスではありません。
「嗅覚」は、人間の感情の動きをあらわす「情動」に最も強く働きかける五感の一つで、「香り」はあなたの「印象」を模り、自分や相手の脳細胞に「記憶」として残す最も強い存在とも呼べます。
「香水を選ぶ時、大切なのは、自分自身が心地よく感じられる香りを見つけること。そして、その香りを纏うことで、自信と幸福感を得られること。」(クリスティーヌ・ナジェル氏)
香水の種類別|付け方の基本:エルメス調香師のアドバイス

種類によって、香りの強さや持続時間が異なります。それぞれの特性に合わせて、つける量を調整しましょう。
香水の種類 | 香料濃度 | 香りの持続時間 | おすすめのつけ方 | エルメス調香師のアドバイス |
---|---|---|---|---|
パルファム | 15-30% | 5-7時間 | 少量で十分。手首や首筋に1プッシュ。パルスポイントを意識し、つけすぎに注意。 | 「パルファムは、香りの宝石。一滴で、一日を彩るほどの存在感があります。纏う際は、肌にそっと触れるように。」 |
オードパルファム | 10-15% | 4-5時間 | 手首や首筋に1-2プッシュ。香りの変化を楽しみたい場合は、時間をおいて重ね付けもOK。 | 「オードパルファムは、洗練されたエレガンス。香りのグラデーションを楽しんで。」 |
オードトワレ | 5-10% | 2-3時間 | 手首や首筋、足首など、広範囲に1-3プッシュ。軽い香りが特徴なので、気軽に楽しめます。 | 「オードトワレは、軽やかな日常使いに最適。朝のシャワーのように、フレッシュな気分で一日をスタートできます。」 |
オーデコロン | 2-5% | 1-2時間 | シャワー後やお出かけ前に、全身にスプレー。リフレッシュ効果が高いので、気分転換にも最適。 | 「オーデコロンは、香りのシャワー。気分転換やリフレッシュに最適です。重ね付けすることで、自分だけの香りを創り出すこともできます。」 |
香りが持続しやすい「つける場所」とその根拠
香水をつける際のポイント

香水を最大限に活かすには、「血流・温度・摩擦の少なさ・汗腺の少なさ」という4つの観点がカギです。
- 耳の後ろ
- 根拠:動脈が近く体温が安定。汗腺が少ないため香りが変質しにくい
- 印象:髪に隠れるため、近づいたときにだけ香る上品な演出が可能
- うなじ(首の後ろ)
- 根拠:体温が高く、空気の対流に乗って香りが自然に広がる
- 印象:後ろ姿からふわっと香り、控えめで清潔感のある印象に
- 手首(内側)
- 根拠:橈骨動脈が通る“パルスポイント”。体温が高く香りが立ちやすい
- 注意点:洗浄や摩擦で香りが飛びやすいため、つけた後こすらないことが重要
- 足首(男性にもおすすめ)
- 根拠:動くたびに空気の流れで香りが上へと立ち上る
- 印象:香りが足元から徐々に広がり、「あとから香る」ナチュラルな印象に
- 補足:「香りは暖かい空気とともに上昇する」という空気力学の特性も活用
つける際の注意点
乾燥肌の場合
香りが飛びやすいため、保湿をしっかり行い、クリームや乳液を塗った後に香水をつける。
脂性肌の場合
香りが強く出やすいため、つける量を控えめにする。
香水の変色
直射日光や高温多湿な場所に保管すると、香水が変色することがあります。
肌トラブル
アルコールに弱い方は、直接肌につけずに、ハンカチや衣服につける
乳液を活用したテクニックはこちらから

シーン別|おすすめの香り演出

オフィス
清潔感のある石鹸系や柑橘系の香りを控えめに。
手首や足首に1プッシュ程度。
(例:SHIRO:サボン、Le Labo:SANTAL33、Aesop:Tacit、officine universelle buly)
デート
甘めのフローラル系やオリエンタル系の香りで、ロマンチックな雰囲気を演出。
耳の後ろやうなじに少量つけるのがおすすめ。
(例:Dior:Miss Dior、Yves Saint Laurent:Black Opium、エルメス ヴォヤージュ ドゥ エルメス)
パーティ
華やかなフローラル系やスパイシー系の香りで、個性をアピール。
手首やデコルテなど、香りが広がりやすい場所につけるのが効果的。
(例:Tom Ford Black Orchid、Chanel Coco Mademoiselle、エルメス ジュール ドゥ エルメス)
フォーマルな場
控えめで上品なフローラル系やウッディ系の香りを、膝の裏や足首に。
(例:Chanel No.5 L’Eau、エルメス カレーシュ)
カジュアルな場
シトラス系やグリーン系の香りを、空間にスプレーして香りのベールを纏う。
(例:Jo Malone Lime Basil & Mandarin、エルメス オー ドゥ シトロン ノワール)
香りでもっと、あなたらしく。
「香水は、単につけるものではなく、”対話”するもの。」
「香水は、纏う人の内面を映し出す鏡。自分自身を深く理解し、自信を持って香りを纏うことで、人生はより豊かになるでしょう。」(クリスティーヌ・ナジェル氏)
自分の肌、体温、そして心と向き合い、最適な香りの纏い方を見つけることが大切です。
香りの魔法を使いこなして、記憶に残すあなたを表現しましょう🍃
信頼性のある出典・参考文献
- 日本化粧品技術者会編『香粧品科学の基礎』
- William Poucher著『Poucher’s Perfumes, Cosmetics and Soaps』
- 香水ブランド公式サイト(Jo Malone、Diorなどの使用法ガイド、Hermes)
- 『Fragrance: The Psychology and Biology of Perfume』(Rachel Herz, 2007)
- 香料メーカーの技術資料(Givaudan、IFFなど)
- 化粧品に関する法規制(薬機法など)に関する情報
- クリスティーヌ・ナジェル氏へのインタビュー記事(Hermes公式)